FOG JOURNAL

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ニース風サラダ Insalata Nizza

美味しいイタリア食材を販売するブランド、カーサモリミ小林もりみさんから届く素敵なレシピ。
casa morimi の YouTube はこちらから。

みなさま、イタリアよりこんにちは!
こちらは 6 月の頭に学校が 3ヶ月の夏休みに入り(長いですよね〜)、それに伴って山の家、海の家で夏を過ごす人も多く(お父さんだけ街に残ってお仕事、8 月は家族にジョインというケースが多いです)、街に少し暮らす人が少なくなってちょっと落ち着いた街の表情です。

暑さが日々厳しくなるのを実感する日々ですが、街が 8 月に向けて徐々に静かになるのを感じるのは結構好きなのです。
8 月になったら車もほとんど走らなくなるので、夏の夜に風を感じながら誰もいない道を自転車で通ったりするのが、夏の密かな楽しみでもあります。

さて今日はこの季節にいただくことが多いニース風サラダをご紹介します。
また切って並べるだけですが、それだけに美味しい素材がポイントです。

お酢をしっかり効かせて召し上がっても、オリーブオイルと塩だけでも。
またすべての材料が揃っていなくても、あるものだけでも十分。
ちょっと盛り付けを変えるだけで、見た目も新鮮に。

ニース風サラダ

• じゃがいもを水から茹で、熱いうちに皮を剥いて食べやすいサイズに切っておく。
• 小鍋にお湯を沸騰させ、卵を静かに入れて7分。ゆで卵を作り、半分に切る。
• いんげんを茹でておく。
• パプリカを食べやすく切っておく。
• ツナのオリーブオイル漬、オリーブの塩水漬、グリーンリーフ、アンチョビフィレとともに盛りつける。
• オリーブオイル、塩、白ワインビネガーでいただく。マヨネーズ派の方はマヨネーズで。
Buon Appetito!

ツナは添加物などの使用のない、品質の高いものがおすすめです。
アンチョビは旨味がある大きなフィレのものを。オリーブは時間をかけて発酵したナチュラルなものを。(色が鮮やかなタイプは硝酸を使ってアク抜きしているものです。一括表示には記載さていませんから、色でご判断ください)
オリーブオイオイルはお好みの美味しいものを使ってくださいね。


さらさらリネンの夏服に袖を通してみませんか? 2023.6.8




こんにちは!
いよいよ、本格的なリネンのシーズンがやってきましたね。
さらりと気持ち良いのリネンのウェアは、この夏なくてはならないパートナーとなるはずです。
リネンは吸水性と速乾性に優れている素材。
つまりは汗を瞬時に吸い取って、すーっと乾いてしまうという魔法のような生地なのです。
さらに抗菌性も高く、雑菌の繁殖が抑えられて、たくさんの汗をかいても匂いがしにくいのも嬉しいところ。
さてさて、今日も夏コレクションから pick up してお届けします。
リネンのウェアでおしゃれに、そして暑さにへこたれない夏にしましょう!


まずご紹介するのはネックラインとウエストラインに寄せたギャザーでふんわりとしたシルエットのブラウス。
風が通り抜けていくのが見えるよう。
ゆったりした袖( これも涼しさ対策になります )とスクエアカットの襟元がクラシックな雰囲気です。

レイチェル トップ ¥ 19,250
轟木節子さんインタビュー

スタイリスト 轟木節子さんと fog がコラボレーションした「ユヌ ローブ」と「プティ タブリエ」
打合せとサンプル制作を重ね、轟木さんのこだわりいっぱいの、とっても素敵な商品が出来上がりました。
そのアイテムができ上がるまでのお話を轟木さんにお伺いました。


( fog ) fog では轟木さんにウェアカタログのスタイリングを何度もお願いしています。
毎回、洗練されたコーディネートで色の組み合わせが新鮮、色の魔術師のようと思っていました!
いつも可愛いアイディアをたくさんお持ちの轟木さんにリネンでなにか一緒に作りませんか?とお願いしたのが今回のコラボレーションがはじまったきっかけです。

スタイリストとしてご活躍されていらっしゃいますが、スタイリストになろうと思われたのはいつから?

( 轟木さん ) 中学 1 年生の後半です。
その頃オリーブやアンアンなどのファッション雑誌をみて、スタイリストという仕事があるのを知りました。
通っていた女子校の寮では、年上の高校生のお姉さん達から見せてもらった雑誌、流行通信や ELLE japon を見てファッションに興味を持ちました。
洋服屋さんや古着屋さんに通ったり、ファッションも素敵な外国映画を見たりすることが好きでした。

中学生の時に雑誌オリーブの気に入ったページを壁に貼っていて。
その頃はスタッフクレジットまで見てなかったのですが、ずっと後で、そのページをスタイリングしていたのが大森伃佑子さんだったと気付きました。
その約 10 年後にオリーブ等でスタイリストをされていた大森さんのアシスタントになれたご縁がびっくりで、とても嬉しく思います。

( fog ) スタイリングのお仕事で大事にされているところはどんなところですか?

( 轟木さん ) ときめきとバランス。
その時の最善と最高を目指す、ことですかね。

( fog ) スタイリングのお仕事をされていて、いろいろな商品を目にされることが多いと思いますが、ご自分だったら、こんなふうに作るのになーと思われることなどありますか?

( 轟木さん ) 自分だったらこう作るな、はないですが、同じ生地で別のかたちもあったらいいなあと思うことはあります。

( fog ) 轟木さんは、ほぼ日さんで BIWACOTTON の企画、また他のアパレルブランドさんともコラボの商品企画などをされていらっしゃいますが、どういうきっかけで商品企画のお仕事をするようになったのですか?

( 轟木さん ) スタイリストのお仕事でご一緒した方から、お声をかけてもらって一緒に作りませんか?ということが多いです。
たのしく仕事をしている仲間から、声をかけてもらってのものづくりはとても楽しいですね。

( fog ) 普段着る洋服などでお好きな素材は?
天然素材にこだわられることなどありますか?

( 轟木さん ) 天然素材が大好きです。
肌が呼吸している感じが気持ちがよくて。
アウトドアな旅や雨の日のウィンドブレーカー以外はほとんど天然素材です。
好きなのは、綿のベルベット、コットンタイプライター、カシミヤ、シルク、リネンなど。
それぞれの生地や糸の特性があって魅力的ですよね。

( fog ) また、リネン素材のどういうところがお好きですか? 

( 轟木さん ) 凛とかっこよく、軽やかでタフなところ。
なぜか愛着がわいてくる素材。
生地が育っていく過程や、ヨーロッパのリネンを長く使う文化への憧れみたいなものもあります。
嫁入り道具としても代々受け継がれる国もあるっていいますものね。
麻は神社の神事でも使われる神聖な美しさもあるところに惹かれます。

( fog ) 衣類以外にもリネンを使われることはありますか?

( 轟木さん ) ハンカチや、ベッドパット(キルティングになっているもの)、ブランケット、枕カバー、キッチンリネン、バッグ、夏の靴下などです。
寝具として使って実感したのが気温や自分の体温に寄り添ってくれる凄さです。
暑い時は熱を逃し、冬は熱を保ってくれる。
梅雨の時期も快適です。

( fog ) 今回デザインされたワンピースとエプロン、名前は「ユヌ ローブ」と「プティ タブリエ」です。
どういった意味なのでしょうか?

( 轟木さん ) fog さんがいつも使われているフランス語にしました。
「ユヌ ローブ」は日本語で「あるドレス」。
物語の始まりに使われる「あるところに・・」とか「ある日」のように匿名性があって神秘的なイメージと、「あるドレス」が、着てくださる方のもとで、
それぞれのストーリーを紡いでいくといいなという思いで付けました。
あと、このドレスは前、後どちらも着られるデザイン。
ある時は、ボタンの方を前に、凛ときりりと。
またある時はギャザーを前にふわりと優しく。
いつも軽やかにいろんな気分を着替えるように、いろんな自分を楽しめたらと思います。
そして「プティ タブリエ」は華奢なエプロンという意味合いで付けました。
「あるドレス」に似合う女性の働く姿が美しく見える前掛けです。


( fog ) なぜこの形だったのですか?

 ( 轟木さん )すっと真っ直ぐ、凛としたドレスが作りたかったのが最初です。柱という意味のピラードレスを。
筒状だと歩きにくいから、後ろに深めのスリットを入れる必要があって。
けどスリットは、いつもレギンスを履いている私には後ろ姿のバランスが良くないのと、 fog さんのお客様もスリット深いのはセクシーすぎていやかしら、と思って考えたのが背面にほんの少しのギャザーを入れること。
足が長く、バランス良く見えるように腰の高い位置に入れました。
1 st サンプルが出来上がったときに前後逆にしてみたらとても可愛くて、前後共に着られるデザインを意識して修正していきました。

( fog ) それぞれのアイテムのこだわりポイントを教えていただけますか?

( 轟木さん ) ワンピースの一番のポイントは、前後どちらでも着用できること。
ボタンを前に着た時は、ストンとした I ラインできりりとした印象に。
ボタンを後ろに着た時は、ギャザーでふんわりとした柔らかな感じに。
どの角度からみても、きれいな佇まいのドレスに仕上がりました。
胸元は視覚的にスッキリ見えるようにロングネックレスのような開きにして。
袖口もやや斜めにすることにこだわって手首がきれいに見えるように。


( fog ) 確かに、前後で雰囲気が全然違って、まるで違うワンピースを着ているようですね。

( 轟木さん ) 袖はパフスリーブで、袖口のゴム部分は窮屈でなく、ゆとりのあるサイズにしました。
袖が少しゆるい方や、ボリュームを持たせたいときは、袖口に透明のゴム(私はモビロンゴムというのの折径 80 mm か 90 mm を使ってます)をかぶせて肘あたりまでたくし上げるとよりふんわりときれいめな印象になります。

( fog ) そんな裏技があったとは!知りませんでした。気分によっていろいろな着方を楽しめそうです。


( fog  ) そしてギャザーもサイドに少し入っているので、可愛らしすぎず、大人の女性にぴったりな感じですね。

( 轟木さん ) 前立ての部分のボタンは、後ろ側でもとめやすいように、一部がスナップボタン仕様になっています。
いちばん上の小さなボタンはごめんなさい、ちょっと留めにくいです。


( 轟木さん ) 今回ワンサイズ展開ということで、いろいろな身長のスタッフの方に試着していただいてできるかぎりみなさんにバランスよく着ていただけるような着丈にしました。

( fog ) 確かに!イメージが違って見えるけれどちらもいい感じです。
下の写真はメガネをかけているのが轟木さんのアシスタントの西川さん。
身長 158 cm です。
そしてその下が fog のスタッフ長谷川です。
彼女は身長 171 cm 。



( fog ) 他にもおすすめのスタイリングがあったら教えてください!

( 轟木さん ) 下にワイドパンツを合わせても素敵です。
fog さんのワイドのペチパンツは今回のアルバートル ホワイトのワンピースと同じ色でフルレングスのドレスのようなイメージですてきです。
セットアップするとおしゃれな感じになりますね。
ぜひお試しいただければと思います。



( fog ) エプロンの方はいかがですか?

( 轟木さん ) 細いひもでエプロンは胸当ての部分がすこし小さめ、ウエストの切り替え位置が高く、ちょっと個性的で脚長にみえるバランスです。
スカート部分にも切り替えが入っていて、すこし広がる A ライン。


腰ひもは前に回して結んでも、後ろで結んでもどちらでも。



( fog ) 今回はたくさんある色のリネン生地の中から、色選びにもとっても悩みましたよね。
エプロンとワンピースで共通する色が 2 色(シエル ブルーとネイビー)、その他にエプロンはアシェグレー、ワンピースがアルバートル ホワイトという色展開です。
お客様も色選びに悩まれるのではと思います。

( 轟木さん ) はい。どの色もすてきで着たくて、絞るのが大変でした。
迷ったら空色のドレス、シエルブルー、とても着やすい水色で気持ちも爽やかになっておすすめです。
是非試していただきたいのが、同じ色でのセットアップ。
着ると気分がシャキッとしてきれいです。
fog さんと相談して、ワンピースとエプロン、どの色と組み合わせても良いバランスになるよう選びました。
セットアップはふだんからエプロンもワンピースもおつくりになっている fog さんとだからできたことですね!

( fog ) そうですね。シエル ブルー × シエル ブルーのような同色の組み合わせも良いですし、ネイビー × アシエ グレーのようなシックな色合いも捨てがたいです。


( 轟木さん ) ポケットは口の部分を斜めのラインにすることで、見た目が可愛いだけでなく、手もスムーズに入れることができます。
リボンは少し細くしてエレガントなイメージに。



( fog ) 轟木さんがスタイリングされたテレビ CM で、モデルの香菜子さんがシエル ブルーのワンピースとエプロンをセットアップで着用されていたのも、とっても素敵でした!

( 轟木さん ) 香菜子さん、とってもお似合いでした!

( fog ) 今回は素敵なアイテムを企画して頂き、ありがとうございました!

轟木節子
スタイリスト。
ファッション誌や広告、テレビ CM 等のスタイリングなどで幅広く活躍。
ウェアのコーディネイトだけでなく、トータルな世界観を提案するスタイリングが人気。
今回はご本人も大好きというリネン素材での服作りをお願いしました。
グリーンピースのスパゲッティーニ Spaghettini con Piselli

美味しいイタリア食材を販売するブランド、カーサモリミ小林もりみさんから届く素敵なレシピ。
casa morimi の YouTube はこちらから。


みなさま、イタリアからこんにちは!
日本では桜の開花も聞かれるようになりましたね。
イタリアは春といえば、Piselli! グリーンピース!と連想するほどにグリーンピースが甘くて美味しいのです。

日本もお豆ご飯があるように、新鮮なものは甘くて美味しいですよね。

今回ご紹介するのは、そんな春の味。
新玉ねぎとグリーンピース、そして美味しいオリーブオイルだけのスパゲッティーニ(細めのスパゲッティ。といってもうちでご紹介しているスパゲッティはどっしりとした太めなので、細めとはいえ日本のスパゲッティよりは太いかも?)

ぜひ上質なオリーブオイルをたっぷりと使って、ロングパスタで召し上がってください。

グリーンピースのスパゲッティーニ

材料 2 人分
グリーンピース 1 パック
新玉ねぎ 1 / 2個
エキストラバージンオリーブオイル 大さじ 2 杯 
塩(不要な場合も)

① グリーンピースは洗ったら、鞘からお豆を取り出しておく。
② 大きな鍋にたっぷりとお湯を沸かしておく。
③ そのお湯を一部、小さな小鍋に移し、グリーンピースの鞘を入れて中弱火で鞘のだしを取る。
④ 蓋ができる鍋に、新玉ねぎのみじん切りを入れてオリーブオイルでじっくりと炒める。
⑤ 新玉ねぎの甘い香りがしてきたら、グリーンピースを鍋に入れ、鞘の出汁を加えつつ、15 分ほど都度出汁を加えながらじっくりと甘さを引き出していく。最後に塩で調味する。
⑥⑤の途中でスパゲッティーニを茹で始める。
好みの硬さに茹で上がったら、お湯を切り(切りすぎないことがポイント)、⑤に加え、また場合によっては鞘の出汁を少し加えて、よくパスタとソースと一体化する。

Buon Apetito!

*パスタは鋳物で型を抜いて低温乾燥させた上質のパスタをぜひお試しください!
石川隆児さんインタビュー


大人気の陶芸家、石川隆児さん
ご縁があって今回 fog ONLINE STORE で石川さんがプロデュースされた製陶所での製作による器「オクトゴナル プレート」を販売させていただくことになりました。
今回は石川さんに、陶器について、そしてオクトゴナル プレートについていろいろお話を伺いました。


( fog )
6 月にあった檸檬とラクダさんの出版イベントの時に素敵なお皿にお菓子が並べられているのを見て、お皿の作家さんについて檸檬とラクダさんに伺ったのが、石川さんを知ったきっかけでした。
そのイベントの時に石川さんも fog にいらしてくださったのですよね。
石川さんが fog を知ってくださったのはその時ですか?

( 石川 )
以前から、身近なお客さまから fog さんのお話はお聞きしていました。
そんな中、静岡で馴染みのある檸檬とラクダさんの書籍出版イベントで伺ったのが初めての訪店でした。

( fog )
いらしてくださったすぐ後に fog で個展を、と言ってくださったのですよね。
それで 9 月の初めに 2 日間、個展を開催してくださり、たくさんのお客さまにいらしていただきました。
その時は事前予約制でおひとりさまご購入は 2 つまでということだったのですが、2 日目のお客さまにも作品を選んでいただけるようにと、最後の時間枠までいろいろな種類の器が並んでいて、石川さんのお客さまへの心遣いや、ご準備の入念さに感心しました。
そして、fog のことをご存知ないお客さまにもいらしていただいて、fog shop もご覧いただく機会を作っていただき、ありがとうございました。


石川さんは日本各地で展示などされていますが、展示の場所はどんなふうに決められているのですか?

( 石川 )
展示会をさせていただく場所については、その場の空間や、お会いした人とのフィーリングのようなものを頼りにしています。
空間については、その場に入った瞬間にわくわくしていたり、人についてはお話ししていく中で、この人とやりたいと自然と思えれば、こちらからお願いをさせていただいています。

( fog )
石川さんがそもそも陶芸家を志すことになったきっかけを教えていただけますか?
作家歴は何年くらい? 

( 石川 )
大学進学の時に美術学科に進学し、そこで陶芸を学びました。
その時には「陶芸家になる」といったヴィジョンはなく、ただ作ることや技術が身につくこと、新しいものに触れることなど、学びの状態が楽しかったのだと思います。
その中で先輩との展示会や活動を通して、作家さんの存在を知ることになり、自身もその道を進むようになったという感じです。
作家歴としては、8 年ほどになるでしょうか。

( fog )
どんなところで制作活動をされているのですか?

( 石川 )
東京都内で制作をしています。
身近な方からのご縁で、制作の場をご紹介いただきました。

( fog ) 
今はさまざまな形の器を作られていますが、初めに作られたものはどの形ですか?

( 石川 )
陶芸に触れた頃はロクロの練習も兼ねて、湯呑みから取り掛かりましたが、今の白い器を始めた頃は、手探りで小さな小皿から作り始めました。
そこから、マグカップ、オーバル、八角皿へと展開して、それが今では定番の器となっています。


( fog ) 
石川さんの器作り、なにかテーマなどはありますか?
食器の形、作られるうちにどんどん新しい形に変わっていくのでしょうか?

( 石川 )
テーマは特にないと思いますが、マグカップなどは、比較的シンプルで現代的な造形の傾向があります。
お皿については、アンティークを参考にして取り組んできました。
マグカップなど、ロクロでつくるものについてはその時その時で若干、形に違いが出ています。
オーバルや八角皿など、型を用いる形については、型が決まっているため大きな差は出にくいですが、焼成後の歪みについては、ロクロのものよりも個体差が出やすくなっているのが面白いところです。

( fog ) 
石川さんの器にはどれにも石川さんご自身のサインやマークなどありません。
それが潔くて素敵だなと思うのですが、これははじめから?
マークなど入れないのはなぜですか?

( 石川 )
そうですね。「器は暮らしの "道具" 」と認識しているため、必要以上の作り手の気配はいらないと思っています。
作り手の気配は形だけで充分伝わると思っています。

( fog )
fog での展覧会は今年は 2 回目。
今回は石川さんの作品と、そして新たに陶器メーカーさんに生産を依頼されたお皿のお披露目なのですよね。
普段はご自身で器を作られていらっしゃいますが、陶器メーカーさんに生産を依頼されることになったきっかけを教えてください。

( 石川 )
今年の始め頃から、愛知県の製陶所とやりとりを重ね、器の量産に取り掛かりました。
それまでは、すべて自身の手で作り、お客様に届けてきたのですが、自身の生産数にも限りがあり、もっと多くの方に器を見ていただきたい思いから量産の器を制作依頼して、手作りの器と量産の器の二軸での活動に辿り着きました。タイミングやご縁が重なり、fog さんでお披露目をさせていただきたいと思いました。


( fog ) 
ご自身の作品とプロデュースされたの器の違いやそれぞれの良さはどんなところですか?

( 石川 )
手作りの器の良さはやはり、言葉にできない温もり感というか、手作りならではの " あの感じ " ですね。
また制作枚数も少ないため量産と比べると希少性もあると思います。
1 点ずつ個体差があることも魅力になると思います。
それに対して、量産の器の良さは、まず使いやすさがあります。
量産の方は手作りの八角皿よりも一回り大きく制作しました。
それにより、余白を充分楽しめるサイズ感となっています。
食事もデザートも盛り付けが楽しくなる器になったのではないかと思います。また、量産ならではの生産数も魅力的です。
販売価格も手作りの器に比べ、手に取りやすい金額となっていますので、ご家族に合わせて複数枚お買い物求めいただけるようご用意したいと思っています。

( fog )
量産の一番初めはなぜオクトゴナル プレートだったのでしょう?
オクトゴナル プレートは八角形ですが、普段の使いやすさはいかがですか?
また、このお皿で石川さんがこだわられたところなど、教えてください。

( 石川 )
制作する器の中で、発表当初から今まで八角皿が 1 番人気です。
毎回展示会では、八角皿から完売していく傾向となっています。
またお客様からも「 石川さんといえば八角皿 」と言われることも多く、量産の器に八角皿を選んだのは僕にとっては自然なことのように思います。
使いやすさについては、シンプルな器なので、朝昼晩、シーンを問わず手が伸びる器だと思います。
こだわった点としては量産の器でありながら、一点ものとしての存在感を残すことと、釉薬の質感でした。
このあたりは職人さんとも何度も打ち合わせをし、こちらの希望を叶えていただきました。
( fog )
石川さんの作る器 、 白やアイボリー 、ブラックとシンプルな色合いですが、色には何かこだわりが?

( 石川 )
こだわりというほどではないのですが、白の美しさを伝えたいのかもしれません。
李朝の白磁もフランスアンティークの器も、基本的には白い器ですが、その白は様々です。
白とはプレーンやスタンダードではなく、白という美しい色だと認識しているため、その白を引き立てるための黒やアイボリーなのだと思います。


( fog )
今回の量産の器に関しては薄い乳白色ですね。貫入いりと貫入なしの 2 種類。
この種類はどんなふうにして決められたのですか?

( 石川 )
参考にしたのはフランスアンティークの雰囲気です。
定番の白艶と、雰囲気が個々に異なる貫入の器。
これは、量産でありながら、自身で選ぶ楽しさや、しっかり器を見るということに繋がればという想いも含まれています。
皆さんがどちらをどんな風に選ばれるか、今からとても楽しみです。


貫入について・貫入とは釉薬の表面にできたひびのこと。
ガラス質の釉に入った貫入は、光を受けて私たちにさまざまな表情を見せてくれます。
使用する中で経年変化がありますが、貫入の風合いとしてお楽しみください。
(貫入が入っていることによって割れやすくなることはありません)。


左・ホワイト・柔らかなアイボリー
右・貫入・少し黄色味があるアイボリー

( fog )
ホワイトと貫入については、石川さんの方でなにか使い分けやイメージの違いみたいなことはありますか?

( 石川 )
貫入なしの白艶の器については、食堂で平積みされた" 働く器 " をイメージしていますので、暮らしの中で朝昼晩問わず、活躍してもらえたらと願っております。
貫入ありの器については、少し時間をゆったりと過ごせる時、自身と向き合うお茶の時間にも相性が良いと思います。
貫入の表情は見ていて飽きることがなく、また暮らしの中で変化していく貫入の表情も見所となります。


( fog)
今回のオクトゴナル プレート、どのように使うのがおすすめですか?
具体的に盛り付けるお料理のイメージなどがあれば、教えてください。

( 石川 )
朝食でしたら、トースト、卵、ベーコン、サラダなど、ワンプレートに。
もちろん、パスタやカレーも余白をもって楽しめます。
ティータイムには特別なお菓子をおともに。
ステーキやハンバーグなどの洋食はもちろん、和食や中華、お料理のジャンル問わずご使用いただける器かと思います。



( fog) 
この後もプロデュースの工場での生産の器の種類は増やされる予定ですか?

( 石川 )
先日、愛知県の製陶所に出向き、新作の打ち合わせを行いました。
八角皿のケーキ皿サイズやオーバル八角皿など、来年には複数の種類をまたご紹介できると思います。

(fog) 
来年も新しい展開を楽しみにしています。
今日はどうもありがとうございました。


石川 隆児プロフィール

1985 年 東京生まれ
2008 年 明星大学陶芸専攻科 修了
2013 年 愛知県立窯業高等技術専門校 修了
2015 年 ~ 都内にて制作開始

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