こんにちは! 今日は 「fog etc」の商品の中から、特に人気のタオルバーやトイレットペーパーホルダーの制作秘話、そしてそれぞれの使用例をご紹介します。 ぜひご覧くださいね! fog では「fog etc」という名前で 2013 年より リネンの製品とは別にさまざまな雑貨を作っています。 ワイヤーバスケットブラスのボウルやプレートなどから始まり、インテリアで使えるタオルバーやトイレットホルダー、フックなどの商品まで。 商品の製造はインドの北東部の町で、熟練の職人さんたちが手仕事で作られています。 家の中で壁に取り付けて使う DIY の 商品を作り始める時は、それぞれの商品の仕様、サイズ、耐荷重、取り付け方法、塗装のことなど、それまで作っていた雑貨とは勝手が違ったため、商品の設計を建築家の大橋 渉さんにお願いしました。 大橋 渉さんは下北沢の fog の建物を設計してくださった方です。 シンプルで居心地の良い建物の設計、内装のデザインをされています。 今日は大橋さんに etc のアイテムについてのお話を伺いました。 (fog) トイレットペーパーホルダーやタオルバーのデザインにおいて、最も重視したデザインのポイントは何ですか? (大橋さん) fog linen work からタオルバーなどの製品設計のご相談をいただいた際に、ブランドコンセプトをお伺いしたところ『普段使い』や『いろいろなライフスタイルの方の暮らしの中でお役に立てる製品を作りたい』というキーワードをいただきました。 また製品はインドの工房にて手作業で生産されるとのことでした。 そのため技術的な事は制限されていますが、逆にインドのもの作り特有の大らかさも魅力的だと思いました。 そこで設計では製品としての機能性は満たしつつ、形状や作り方を出来るだけシンプルにして、ハンドメイドによる味わいが生きるようにすることを心がけました。 手作業特有の風合いが、fog linen work のブランドコンセプトに合っているのではないかと思います。 (fog) シンプルながらも存在感のあるデザインが特徴的ですね。 (大橋さん) リネン製品の風合いや本社ビルの雰囲気に馴染むような形状を心がけています。 また、仕上げも鉄とブラスと素地仕上げなので、素材自体の力が存在感に表れているのかもしれません。 (fog) 機能性と美しさのバランスをどのように取っていますか? (大橋さん) 設計の過程では図面や模型で製品単体としての美しさを考えて形状を検討しましたが、タオルバーにはタオルをかけて使うときの美しさがあり、トイレットペーパーホルダーにはトイレットペーパーを使っているときの美しさがあるかと思います。 そのため、実際の生活で使ってみて製品の使い勝手や強度などを確かめてみました。 すると機能面や強度などで上手くいかないところもあり、素材の太さやビスを止める部分の大きさなどの細かな改良を繰り返しました。 試作を繰り返す中で、「生活の中での機能性のある美しさ」のバランスを見つけていきました。 (fog) アイデアが形になるまでのプロセスを教えてください。 (大橋さん) 普段は建物の設計をしているので、DIY の商品も建物の設計と同じプロセスで進めました。 具体的には初めにご要望をお聞きして、お打ち合わせのなかで思いついた案を元に模型を作ります。 その模型を fog のスタッフの方々の意見をお聞きして変更を繰り返し、最終案を図面にしました。 (fog) 試作段階で苦労した点や改善を重ねたポイントは何でしょうか? (大橋さん) 出来上がった図面と模型をインドの工房に送り試作品のやりとりをしたのですが、図面だけでのコミュニケーションではインドの職人さんにも細かな意図が伝わらず、お互いに苦労しました。 そこで最終的にはインドまで足を運び、現地の職人さんに設計の意図をお話しして、ようやく完成したのです。 設計をしてから最終的な製品が完成するまでは 1 年くらいかかったと思います。 (fog) 実際に使う人の意見やフィードバックはどのように反映されましたか? (大橋さん) 完成した全ての製品を販売前に fog の会社で使用してもらいました。 試作段階でも色々と試してフィードバックをいただいているので、完成後に変更するところはありませんでした。 ただ、設計時は戸建住宅やお店など個人のお客様が使用される事を想定していましたが、最近は集合住宅やホテルやレストラン等のビジネスのお客様にも選んでいただけているようなので、今後の参考にしたいと思っています。 (fog) 建築家として、生活用品のデザインに携わることの面白さや挑戦とは何でしょう? (大橋さん) 最近、タオルバーやペーパーフォルダーなどは規格化された工業製品が多くなりましたが、今回の fog の製品はどれもハンドメイドで出来ています。 ハンドメイドの製品は良くも悪くも一点一点が少しずつ異なった形をしており、工業製品とは違った味わいがあります。 安定した製品ができるまでは挑戦の繰り返しですが、生活スタイルの中で良さが広がっていくのが今回のプロジェクトの面白さかと思いました。 (fog) 建物を設計することとプロダクトをデザインすることの共通点はありますか? (大橋さん) 私は普段は建物の設計を仕事としています。 建物を設計するということは、住まい手の生活スタイルと生活する環境を適切に繋ぐことだと考えています。 タオルバーやペーパーフォルダーなどの製品も、お客様の暮らし方と住まわれる生活空間を上手く結びつけるものであればと思います。 
 今回のタオルバーやペーパーホルダーなどは fog linen work のイメージにあうように設計しましたので、fog のリネン製品や洋服などが好きな方々の生活にもきっと合うのではないかと思います。 (fog) 大橋さんご自身が日常生活で「使いやすい」と感じる設計の条件とは何ですか? (大橋さん) 生活環境や年齢など人それぞれの「使いやすさ」があると思うので、使う物と使う人との関係性を良くすることを考える事かと思います。 (fog) 下北沢の fog の建物は14 年前に完成して、それ以来、ショップや 2nd FLOOR ではさまざまなイベントを開催してきましたが、たしかにとても使いやすく、よい仕事をしています ! 社内でもタオルバーやトイレットペーパーホルダーも様々な場所で便利に使っています。 今日はお付き合いいただきありがとうございました。 大橋渉建築設計事務所 柔らかな風を感じたり、 庭の緑にやってくる鳥たちを眺めながらご飯をたべたり、 雨を眺めながらごろごろしたり、 物質的な豊かさだけではなく精神的な豊かさも大切に設計しております。 PROFILE 1974年 新潟生まれ 1996年 新潟大学工学部建築学科卒業 1998年 横浜国立大学大学院工学研究課建築学コース修士課程修了 1998年 建築設計事務所に勤務 2005年 大橋渉建築設計事務所設立 所在地 東京都世田谷区