スタイリスト 轟木節子さんと fog がコラボレーションした「ユヌ ローブ」と「プティ タブリエ」
打合せとサンプル制作を重ね、轟木さんのこだわりいっぱいの、とっても素敵な商品が出来上がりました。
そのアイテムができ上がるまでのお話を轟木さんにお伺いました。


( fog ) fog では轟木さんにウェアカタログのスタイリングを何度もお願いしています。
毎回、洗練されたコーディネートで色の組み合わせが新鮮、色の魔術師のようと思っていました!
いつも可愛いアイディアをたくさんお持ちの轟木さんにリネンでなにか一緒に作りませんか?とお願いしたのが今回のコラボレーションがはじまったきっかけです。

スタイリストとしてご活躍されていらっしゃいますが、スタイリストになろうと思われたのはいつから?

( 轟木さん ) 中学 1 年生の後半です。
その頃オリーブやアンアンなどのファッション雑誌をみて、スタイリストという仕事があるのを知りました。
通っていた女子校の寮では、年上の高校生のお姉さん達から見せてもらった雑誌、流行通信や ELLE japon を見てファッションに興味を持ちました。
洋服屋さんや古着屋さんに通ったり、ファッションも素敵な外国映画を見たりすることが好きでした。

中学生の時に雑誌オリーブの気に入ったページを壁に貼っていて。
その頃はスタッフクレジットまで見てなかったのですが、ずっと後で、そのページをスタイリングしていたのが大森伃佑子さんだったと気付きました。
その約 10 年後にオリーブ等でスタイリストをされていた大森さんのアシスタントになれたご縁がびっくりで、とても嬉しく思います。

( fog ) スタイリングのお仕事で大事にされているところはどんなところですか?

( 轟木さん ) ときめきとバランス。
その時の最善と最高を目指す、ことですかね。

( fog ) スタイリングのお仕事をされていて、いろいろな商品を目にされることが多いと思いますが、ご自分だったら、こんなふうに作るのになーと思われることなどありますか?

( 轟木さん ) 自分だったらこう作るな、はないですが、同じ生地で別のかたちもあったらいいなあと思うことはあります。

( fog ) 轟木さんは、ほぼ日さんで BIWACOTTON の企画、また他のアパレルブランドさんともコラボの商品企画などをされていらっしゃいますが、どういうきっかけで商品企画のお仕事をするようになったのですか?

( 轟木さん ) スタイリストのお仕事でご一緒した方から、お声をかけてもらって一緒に作りませんか?ということが多いです。
たのしく仕事をしている仲間から、声をかけてもらってのものづくりはとても楽しいですね。

( fog ) 普段着る洋服などでお好きな素材は?
天然素材にこだわられることなどありますか?

( 轟木さん ) 天然素材が大好きです。
肌が呼吸している感じが気持ちがよくて。
アウトドアな旅や雨の日のウィンドブレーカー以外はほとんど天然素材です。
好きなのは、綿のベルベット、コットンタイプライター、カシミヤ、シルク、リネンなど。
それぞれの生地や糸の特性があって魅力的ですよね。

( fog ) また、リネン素材のどういうところがお好きですか? 

( 轟木さん ) 凛とかっこよく、軽やかでタフなところ。
なぜか愛着がわいてくる素材。
生地が育っていく過程や、ヨーロッパのリネンを長く使う文化への憧れみたいなものもあります。
嫁入り道具としても代々受け継がれる国もあるっていいますものね。
麻は神社の神事でも使われる神聖な美しさもあるところに惹かれます。

( fog ) 衣類以外にもリネンを使われることはありますか?

( 轟木さん ) ハンカチや、ベッドパット(キルティングになっているもの)、ブランケット、枕カバー、キッチンリネン、バッグ、夏の靴下などです。
寝具として使って実感したのが気温や自分の体温に寄り添ってくれる凄さです。
暑い時は熱を逃し、冬は熱を保ってくれる。
梅雨の時期も快適です。

( fog ) 今回デザインされたワンピースとエプロン、名前は「ユヌ ローブ」と「プティ タブリエ」です。
どういった意味なのでしょうか?

( 轟木さん ) fog さんがいつも使われているフランス語にしました。
「ユヌ ローブ」は日本語で「あるドレス」。
物語の始まりに使われる「あるところに・・」とか「ある日」のように匿名性があって神秘的なイメージと、「あるドレス」が、着てくださる方のもとで、
それぞれのストーリーを紡いでいくといいなという思いで付けました。
あと、このドレスは前、後どちらも着られるデザイン。
ある時は、ボタンの方を前に、凛ときりりと。
またある時はギャザーを前にふわりと優しく。
いつも軽やかにいろんな気分を着替えるように、いろんな自分を楽しめたらと思います。
そして「プティ タブリエ」は華奢なエプロンという意味合いで付けました。
「あるドレス」に似合う女性の働く姿が美しく見える前掛けです。


( fog ) なぜこの形だったのですか?

 ( 轟木さん )すっと真っ直ぐ、凛としたドレスが作りたかったのが最初です。柱という意味のピラードレスを。
筒状だと歩きにくいから、後ろに深めのスリットを入れる必要があって。
けどスリットは、いつもレギンスを履いている私には後ろ姿のバランスが良くないのと、 fog さんのお客様もスリット深いのはセクシーすぎていやかしら、と思って考えたのが背面にほんの少しのギャザーを入れること。
足が長く、バランス良く見えるように腰の高い位置に入れました。
1 st サンプルが出来上がったときに前後逆にしてみたらとても可愛くて、前後共に着られるデザインを意識して修正していきました。

( fog ) それぞれのアイテムのこだわりポイントを教えていただけますか?

( 轟木さん ) ワンピースの一番のポイントは、前後どちらでも着用できること。
ボタンを前に着た時は、ストンとした I ラインできりりとした印象に。
ボタンを後ろに着た時は、ギャザーでふんわりとした柔らかな感じに。
どの角度からみても、きれいな佇まいのドレスに仕上がりました。
胸元は視覚的にスッキリ見えるようにロングネックレスのような開きにして。
袖口もやや斜めにすることにこだわって手首がきれいに見えるように。


( fog ) 確かに、前後で雰囲気が全然違って、まるで違うワンピースを着ているようですね。

( 轟木さん ) 袖はパフスリーブで、袖口のゴム部分は窮屈でなく、ゆとりのあるサイズにしました。
袖が少しゆるい方や、ボリュームを持たせたいときは、袖口に透明のゴム(私はモビロンゴムというのの折径 80 mm か 90 mm を使ってます)をかぶせて肘あたりまでたくし上げるとよりふんわりときれいめな印象になります。

( fog ) そんな裏技があったとは!知りませんでした。気分によっていろいろな着方を楽しめそうです。


( fog  ) そしてギャザーもサイドに少し入っているので、可愛らしすぎず、大人の女性にぴったりな感じですね。

( 轟木さん ) 前立ての部分のボタンは、後ろ側でもとめやすいように、一部がスナップボタン仕様になっています。
いちばん上の小さなボタンはごめんなさい、ちょっと留めにくいです。


( 轟木さん ) 今回ワンサイズ展開ということで、いろいろな身長のスタッフの方に試着していただいてできるかぎりみなさんにバランスよく着ていただけるような着丈にしました。

( fog ) 確かに!イメージが違って見えるけれどちらもいい感じです。
下の写真はメガネをかけているのが轟木さんのアシスタントの西川さん。
身長 158 cm です。
そしてその下が fog のスタッフ長谷川です。
彼女は身長 171 cm 。



( fog ) 他にもおすすめのスタイリングがあったら教えてください!

( 轟木さん ) 下にワイドパンツを合わせても素敵です。
fog さんのワイドのペチパンツは今回のアルバートル ホワイトのワンピースと同じ色でフルレングスのドレスのようなイメージですてきです。
セットアップするとおしゃれな感じになりますね。
ぜひお試しいただければと思います。



( fog ) エプロンの方はいかがですか?

( 轟木さん ) 細いひもでエプロンは胸当ての部分がすこし小さめ、ウエストの切り替え位置が高く、ちょっと個性的で脚長にみえるバランスです。
スカート部分にも切り替えが入っていて、すこし広がる A ライン。


腰ひもは前に回して結んでも、後ろで結んでもどちらでも。



( fog ) 今回はたくさんある色のリネン生地の中から、色選びにもとっても悩みましたよね。
エプロンとワンピースで共通する色が 2 色(シエル ブルーとネイビー)、その他にエプロンはアシェグレー、ワンピースがアルバートル ホワイトという色展開です。
お客様も色選びに悩まれるのではと思います。

( 轟木さん ) はい。どの色もすてきで着たくて、絞るのが大変でした。
迷ったら空色のドレス、シエルブルー、とても着やすい水色で気持ちも爽やかになっておすすめです。
是非試していただきたいのが、同じ色でのセットアップ。
着ると気分がシャキッとしてきれいです。
fog さんと相談して、ワンピースとエプロン、どの色と組み合わせても良いバランスになるよう選びました。
セットアップはふだんからエプロンもワンピースもおつくりになっている fog さんとだからできたことですね!

( fog ) そうですね。シエル ブルー × シエル ブルーのような同色の組み合わせも良いですし、ネイビー × アシエ グレーのようなシックな色合いも捨てがたいです。


( 轟木さん ) ポケットは口の部分を斜めのラインにすることで、見た目が可愛いだけでなく、手もスムーズに入れることができます。
リボンは少し細くしてエレガントなイメージに。



( fog ) 轟木さんがスタイリングされたテレビ CM で、モデルの香菜子さんがシエル ブルーのワンピースとエプロンをセットアップで着用されていたのも、とっても素敵でした!

( 轟木さん ) 香菜子さん、とってもお似合いでした!

( fog ) 今回は素敵なアイテムを企画して頂き、ありがとうございました!

轟木節子
スタイリスト。
ファッション誌や広告、テレビ CM 等のスタイリングなどで幅広く活躍。
ウェアのコーディネイトだけでなく、トータルな世界観を提案するスタイリングが人気。
今回はご本人も大好きというリネン素材での服作りをお願いしました。