大人気の陶芸家、石川隆児さん
ご縁があって今回 fog ONLINE STORE で石川さんがプロデュースされた製陶所での製作による器「オクトゴナル プレート」を販売させていただくことになりました。
今回は石川さんに、陶器について、そしてオクトゴナル プレートについていろいろお話を伺いました。


( fog )
6 月にあった檸檬とラクダさんの出版イベントの時に素敵なお皿にお菓子が並べられているのを見て、お皿の作家さんについて檸檬とラクダさんに伺ったのが、石川さんを知ったきっかけでした。
そのイベントの時に石川さんも fog にいらしてくださったのですよね。
石川さんが fog を知ってくださったのはその時ですか?

( 石川 )
以前から、身近なお客さまから fog さんのお話はお聞きしていました。
そんな中、静岡で馴染みのある檸檬とラクダさんの書籍出版イベントで伺ったのが初めての訪店でした。

( fog )
いらしてくださったすぐ後に fog で個展を、と言ってくださったのですよね。
それで 9 月の初めに 2 日間、個展を開催してくださり、たくさんのお客さまにいらしていただきました。
その時は事前予約制でおひとりさまご購入は 2 つまでということだったのですが、2 日目のお客さまにも作品を選んでいただけるようにと、最後の時間枠までいろいろな種類の器が並んでいて、石川さんのお客さまへの心遣いや、ご準備の入念さに感心しました。
そして、fog のことをご存知ないお客さまにもいらしていただいて、fog shop もご覧いただく機会を作っていただき、ありがとうございました。


石川さんは日本各地で展示などされていますが、展示の場所はどんなふうに決められているのですか?

( 石川 )
展示会をさせていただく場所については、その場の空間や、お会いした人とのフィーリングのようなものを頼りにしています。
空間については、その場に入った瞬間にわくわくしていたり、人についてはお話ししていく中で、この人とやりたいと自然と思えれば、こちらからお願いをさせていただいています。

( fog )
石川さんがそもそも陶芸家を志すことになったきっかけを教えていただけますか?
作家歴は何年くらい? 

( 石川 )
大学進学の時に美術学科に進学し、そこで陶芸を学びました。
その時には「陶芸家になる」といったヴィジョンはなく、ただ作ることや技術が身につくこと、新しいものに触れることなど、学びの状態が楽しかったのだと思います。
その中で先輩との展示会や活動を通して、作家さんの存在を知ることになり、自身もその道を進むようになったという感じです。
作家歴としては、8 年ほどになるでしょうか。

( fog )
どんなところで制作活動をされているのですか?

( 石川 )
東京都内で制作をしています。
身近な方からのご縁で、制作の場をご紹介いただきました。

( fog ) 
今はさまざまな形の器を作られていますが、初めに作られたものはどの形ですか?

( 石川 )
陶芸に触れた頃はロクロの練習も兼ねて、湯呑みから取り掛かりましたが、今の白い器を始めた頃は、手探りで小さな小皿から作り始めました。
そこから、マグカップ、オーバル、八角皿へと展開して、それが今では定番の器となっています。


( fog ) 
石川さんの器作り、なにかテーマなどはありますか?
食器の形、作られるうちにどんどん新しい形に変わっていくのでしょうか?

( 石川 )
テーマは特にないと思いますが、マグカップなどは、比較的シンプルで現代的な造形の傾向があります。
お皿については、アンティークを参考にして取り組んできました。
マグカップなど、ロクロでつくるものについてはその時その時で若干、形に違いが出ています。
オーバルや八角皿など、型を用いる形については、型が決まっているため大きな差は出にくいですが、焼成後の歪みについては、ロクロのものよりも個体差が出やすくなっているのが面白いところです。

( fog ) 
石川さんの器にはどれにも石川さんご自身のサインやマークなどありません。
それが潔くて素敵だなと思うのですが、これははじめから?
マークなど入れないのはなぜですか?

( 石川 )
そうですね。「器は暮らしの "道具" 」と認識しているため、必要以上の作り手の気配はいらないと思っています。
作り手の気配は形だけで充分伝わると思っています。

( fog )
fog での展覧会は今年は 2 回目。
今回は石川さんの作品と、そして新たに陶器メーカーさんに生産を依頼されたお皿のお披露目なのですよね。
普段はご自身で器を作られていらっしゃいますが、陶器メーカーさんに生産を依頼されることになったきっかけを教えてください。

( 石川 )
今年の始め頃から、愛知県の製陶所とやりとりを重ね、器の量産に取り掛かりました。
それまでは、すべて自身の手で作り、お客様に届けてきたのですが、自身の生産数にも限りがあり、もっと多くの方に器を見ていただきたい思いから量産の器を制作依頼して、手作りの器と量産の器の二軸での活動に辿り着きました。タイミングやご縁が重なり、fog さんでお披露目をさせていただきたいと思いました。


( fog ) 
ご自身の作品とプロデュースされたの器の違いやそれぞれの良さはどんなところですか?

( 石川 )
手作りの器の良さはやはり、言葉にできない温もり感というか、手作りならではの " あの感じ " ですね。
また制作枚数も少ないため量産と比べると希少性もあると思います。
1 点ずつ個体差があることも魅力になると思います。
それに対して、量産の器の良さは、まず使いやすさがあります。
量産の方は手作りの八角皿よりも一回り大きく制作しました。
それにより、余白を充分楽しめるサイズ感となっています。
食事もデザートも盛り付けが楽しくなる器になったのではないかと思います。また、量産ならではの生産数も魅力的です。
販売価格も手作りの器に比べ、手に取りやすい金額となっていますので、ご家族に合わせて複数枚お買い物求めいただけるようご用意したいと思っています。

( fog )
量産の一番初めはなぜオクトゴナル プレートだったのでしょう?
オクトゴナル プレートは八角形ですが、普段の使いやすさはいかがですか?
また、このお皿で石川さんがこだわられたところなど、教えてください。

( 石川 )
制作する器の中で、発表当初から今まで八角皿が 1 番人気です。
毎回展示会では、八角皿から完売していく傾向となっています。
またお客様からも「 石川さんといえば八角皿 」と言われることも多く、量産の器に八角皿を選んだのは僕にとっては自然なことのように思います。
使いやすさについては、シンプルな器なので、朝昼晩、シーンを問わず手が伸びる器だと思います。
こだわった点としては量産の器でありながら、一点ものとしての存在感を残すことと、釉薬の質感でした。
このあたりは職人さんとも何度も打ち合わせをし、こちらの希望を叶えていただきました。
( fog )
石川さんの作る器 、 白やアイボリー 、ブラックとシンプルな色合いですが、色には何かこだわりが?

( 石川 )
こだわりというほどではないのですが、白の美しさを伝えたいのかもしれません。
李朝の白磁もフランスアンティークの器も、基本的には白い器ですが、その白は様々です。
白とはプレーンやスタンダードではなく、白という美しい色だと認識しているため、その白を引き立てるための黒やアイボリーなのだと思います。


( fog )
今回の量産の器に関しては薄い乳白色ですね。貫入いりと貫入なしの 2 種類。
この種類はどんなふうにして決められたのですか?

( 石川 )
参考にしたのはフランスアンティークの雰囲気です。
定番の白艶と、雰囲気が個々に異なる貫入の器。
これは、量産でありながら、自身で選ぶ楽しさや、しっかり器を見るということに繋がればという想いも含まれています。
皆さんがどちらをどんな風に選ばれるか、今からとても楽しみです。


貫入について・貫入とは釉薬の表面にできたひびのこと。
ガラス質の釉に入った貫入は、光を受けて私たちにさまざまな表情を見せてくれます。
使用する中で経年変化がありますが、貫入の風合いとしてお楽しみください。
(貫入が入っていることによって割れやすくなることはありません)。


左・ホワイト・柔らかなアイボリー
右・貫入・少し黄色味があるアイボリー

( fog )
ホワイトと貫入については、石川さんの方でなにか使い分けやイメージの違いみたいなことはありますか?

( 石川 )
貫入なしの白艶の器については、食堂で平積みされた" 働く器 " をイメージしていますので、暮らしの中で朝昼晩問わず、活躍してもらえたらと願っております。
貫入ありの器については、少し時間をゆったりと過ごせる時、自身と向き合うお茶の時間にも相性が良いと思います。
貫入の表情は見ていて飽きることがなく、また暮らしの中で変化していく貫入の表情も見所となります。


( fog)
今回のオクトゴナル プレート、どのように使うのがおすすめですか?
具体的に盛り付けるお料理のイメージなどがあれば、教えてください。

( 石川 )
朝食でしたら、トースト、卵、ベーコン、サラダなど、ワンプレートに。
もちろん、パスタやカレーも余白をもって楽しめます。
ティータイムには特別なお菓子をおともに。
ステーキやハンバーグなどの洋食はもちろん、和食や中華、お料理のジャンル問わずご使用いただける器かと思います。



( fog) 
この後もプロデュースの工場での生産の器の種類は増やされる予定ですか?

( 石川 )
先日、愛知県の製陶所に出向き、新作の打ち合わせを行いました。
八角皿のケーキ皿サイズやオーバル八角皿など、来年には複数の種類をまたご紹介できると思います。

(fog) 
来年も新しい展開を楽しみにしています。
今日はどうもありがとうございました。


石川 隆児プロフィール

1985 年 東京生まれ
2008 年 明星大学陶芸専攻科 修了
2013 年 愛知県立窯業高等技術専門校 修了
2015 年 ~ 都内にて制作開始